国立大付属学校の見直し論議始まる エリート校化への批判も

 

国立大学の付属学校と聞いて、どのようなイメージを浮かべられるでしょうか。文部科学省は現在、国立教員養成大学・学部の改革の一環として、付属学校の在り方の見直しも論議しています。一部で進学校・エリート校などと指摘されている国立大学付属学校の在り方が今後、大きく変わる可能性もありそうです。

財務省などには廃止論も

教員養成系の国立大学の付属学校は現在、全国で56大学に合計258校(幼稚園49園、小学校72校、中学校73校、中等教育学校4校、高校15校、特別支援学校45校)があります。その役目は、▽教員養成のための教育実習の場▽実験的・先導的な教育課題の研究の場▽現代的教育課題に対応した教員養成に関する研究への協力の場……と位置付けられています。

これに対して、「教員志望者の実習は公立学校でもできる」「研究もほとんど役に立たない」「実際には教員養成学部との間に連携が取れていない」などの批判が出ています。また、大学の学部以上に多くの教職員を抱えていることもあり、財務省などには予算削減の立場から、付属学校を廃止すべきという主張も根強くあります。

しかし最大の問題は、やはり一部の幼稚園や小学校が、いわゆる「お受験」の対象となったり、一部の中学校や高校が進学校・エリート校となったりして、私立有名校と並ぶ受験競争の対象となっていることでしょう。

文科省は、「国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議」を設置して、教員養成学部と同時に、付属学校の見直しの検討を始めています。議論の中では、付属学校の現状について「エリート校・進学校化しており、その存在意義が見えない」「地域の公立学校などをリードする指導的・モデル的な学校になっていない」「地域とのつながりが薄い」などの強い批判が出されています。

「教員研修学校」などに転換を

一方、文科省は、国立教員養成大学・学部には付属学校が必要という立場から、廃止するという意見には反対しています。このため、見直しの方向として浮上しているテーマの一つが、「教員研修学校」への転換です。教員志望者が公立学校などでも実習している現実を踏まえて、付属学校を現職教員の長期研修の場としたうえで、特別支援学校教員免許など教員が保有していない免許を取得したり、先進的な教育の研修をしたりする場として位置付けるという案です。

また、障害の有無にかかわらず子どもたちが同じ教育を受ける「インクルーシブ教育」や、「中1ギャップ」「小1プロブレム」「幼小連携」など、公立学校では難しい校種をまたがる問題を研究する「教育研究開発学校」の役割を強化するほか、地域貢献機能の強化として、共働き家庭の子どもが入学できる学校へ転換する案なども議論の対象となっています。

いずれにしろ、受験校・エリート校という在り方が見直されるのは確実でしょう。これから国立大学付属学校がどう変わっていくか、有識者会議の議論が注目されるところです。

※国立教員養成大学・学部、大学院、付属学校の改革に関する有識者会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/077/index.htm

(筆者:斎藤剛史)

ベネッセ 教育情報サイト

小学受験「面接で見られるのはむしろ親」?


大学、高校、中学……と、それぞれのステージで行われる受験。どの試験も子どもの意思や能力を問うものだが、小学受験に関しては親の影響が大きいようだ。

 6月まで放映されていたドラマ「マザー・ゲーム」は、「保活」に敗れたシングルマザーが、小学校受験に熱心な親が集まるブランド幼稚園に息子を通わせるところから物語が始まる。

 保険会社に勤める女性(37)も、3歳まで長女(10)を認可保育所に預けることができず、預かり保育がある幼稚園に何とか滑り込んだ。そこの母親たちの話題の中心が小学校受験や塾。

「地元の小学校に通わないという選択肢もあるんだ」

 女性は埼玉から都心に通勤しており、「小1の壁」に悩んでいた。長女が地元の公立小学校に入学したら、自分は長女が登校する前に自宅を出なければならない。私立小学校は母親が専業主婦ばかりだと思っていたが、働く親にも門戸が開かれていると知ると、心が揺れた。

 中学校受験を避けたいという思いも強かった。夜遅くまで塾に通う小学生のために「塾弁」を作り職場を中抜けして届けたり、車で送迎したりするのは、自分には無理だ。休日も塾やテスト漬けで、親子で遊べる時間がなくなることにも耐えられそうになかった。 無理なく合格できるなら――。 塾には入らず習い事もせず、受験対策は自宅で取り組むドリルだけ。受けるのは自宅に近くて校風が気に入った1校のみ、と決めた。地元の公立小学校の就学前健診を受けた時、「どの小学校にもテストがあるみたいね」と長女に伝え、私立が不合格でも挫折感を与えないように気を配った。長女は無事合格。朝は一緒に家を出て同じ電車に乗り、学校の最寄り駅でバイバイするのが日課になった。PTA活動もない小学校で、高校まで心穏やかに過ごさせることができそうだ。

 小学校受験は「親の受験」とも言われる。子どもの意思や学力はほとんど関係なく、親の学歴・能力・経済力が、合否に大きく影響するとされるからだ。

「子どもの能力に大きな差はなく、学校が面接で見ているのはむしろ親」(花まる学習会代表の高濱正伸さん)

「世帯年収で1500万円は欲しい。1千万円でも学費は払えるが、私立小学校に進学させる家庭の生活レベルは高いため、その後のお付き合いがしんどくなります」(ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん)

 畠中さんによると、これに加えて塾代が100万円ほどかかる。親の面接があるためスーツも揃えなければならず、何かと物入りだ。

AERA 2015年7月27日号より抜粋